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【2025/11/26 13:50 】 |
P15-老兵の回帰
その日の夜、烏大老が車で孫を迎えに来た。
「おじいちゃん!」
烏大老が車から出てくるなり、孫は烏大老に飛びついた。
「おー、大きくなったなぁ。」
烏大老は孫の頭を優しくなでながら、G.ファウストに話を振る。
「ファウスト、準備はできているか?」
「ああ、荷物はここにあるので全部だ。」
「そうか。じゃあ積み込もう。お前は先に車の中で待ってな。」
烏大老はそう言いながら、孫を担いで車のシートに乗せる。
孫は言われたとおりに車の中でおとなしくしていた。
「ファウスト。」
荷物が積み終わったあと、烏大老はG.ファウストに話しかけた。
「何だ?」
「あれからアライアンスの動向を探っていたが、武装集団の拠点制圧作戦は今夜行われるそうだ。」
「今夜か・・・」
「機体の状態はいいのか?」
「問題ない。昼間チェックした限りでは良好だった。」
「そうか。戦闘が落ち着いたら私に通信を入れろ。すぐに迎えを向かわせる。」
「了解。恩に着る。」
「礼には及ばんさ。孫のことは私に任せろ。」
烏大老はそう言って、車の運転席へ向かう。
「死ぬなよ。」
烏大老がそう言うと同時にドアが閉まり、車が走り出す。
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【2010/11/20 12:17 】 | 老兵の回帰
P14-老兵の回帰
「お前にはまだ難しいか。今は深く考えなくていい。」
G.ファウストはしゃがみこんで、義孫と視線の高さを合わせて続ける。
「だがすぐに戦争で物事を解決しようとするような大人にはなるな。約束してくれ。」
「・・・うん。」
「おじいちゃんもおじちゃんも、今日から世界から戦争がなくなるように戦うんだ。」
「おじいちゃんもおじちゃんも?」
義孫は不思議そうに聞いてくる。
「ああ。だが、おじちゃんまで戦いに行くとお前が1人になってしまう。」
「・・・」
「だから今日、おじいちゃんが新しいお家にお前を連れて行ってくれる。」
「・・・」
義孫は何も言わない。
「新しいお家にはお前と同じぐらいの子がいっぱいいるはずだ。仲良くしてくれよ。」
「おじちゃんは?」
「ん?」
「おじちゃんは来ないの?」
「ごめんな。おじちゃんは一緒には行けないんだ。」
「・・・」
「だが時間を見つけて会いに行ってやる。約束だ。」
「本当?」
「本当だ!」
「約束だよ?」
「ああ、約束だ。だからもう、出かける準備しないとな。家に戻ろう。」
「うん。」
【2010/11/20 12:17 】 | 老兵の回帰
P13-老兵の回帰
「汚ーい!!」
それが倉庫の中に入ってすぐの義孫の感想だった。
「あまり使わない倉庫だからな。何があるかわかるか?」
「大きくてかっこいい。何なの?」
「これはな、アーマード・コアって言うんだ。」
「アーマード・コア?」
「ああ、すごく昔は作業用の汎用重機みたいなもんだったが・・・」
G.ファウストは続きを言うか迷ったが、続けた。
「今は武器を積んで殺し合いに使われてる、戦争の道具だ。」
「戦争?」
この子は戦争というものを知らない。
物心つく前に戦争で両親を失い、G.ファウストに預けられたのだ。
「ああ。戦争ってのはね、たくさんの人が死んじゃうんだ。」
「どうして?」
「どうしてだかね・・・。理由はいろいろあるから、俺には何とも言えん。」
「例えば?」
「大事なものを守るために戦う場合もあれば、憎い相手を倒すために戦う場合もある。」
「それはいけないこと?」
「理由だけなら、いけないことだとは言い切れんな。」
G.ファウストは間を空けて続ける。
「だがその結果、関係ない人まで死んでしまう。これはいけないことだ。」
「じゃあ戦争はいけないこと?」
「ああ。戦争は本来、ないほうがいいんだ。」
「じゃあどうして戦争するの?」
「全員が同じ気持ちというわけじゃないからな。考え方の違いとかで争った結果起こるのが戦争だ。」
【2010/11/20 12:16 】 | 老兵の回帰
P12-老兵の回帰
「どうだったの?」
リビングに戻ると、期待に満ちた笑顔で義孫が聞いてくる。
「ああ、見てもいいらしい。」
「本当!?」
「本当だとも。それと少し話したいことがある。」
「何?」
「話は倉庫でだ。行くぞ!」
「うん!」
【2010/11/20 12:16 】 | 老兵の回帰
P11-老兵の回帰
「・・・」
G.ファウストの気迫に押され、しばらく黙り込んだ烏大老はこう続けた。
「・・・バーテックスに来い。」
「お前の孫を捨てて、バーテックスに入れと言うのか?」
「そうじゃない。孫はバーテックスの孤児院で預かる、そのほうが安全なはずだ。」
「孤児院か・・・」
「孤児院の安全は私が保証する。バーテックスに来ればお前の身柄の安全も保証する。」
「そうか、それが一番なのかも知れんな。」
G.ファウストは高ぶった気持ちを落ち着かせ、自分を納得させる。
「ああ、それが一番安全だ。今日にでも私が迎えにいこう。」
「いいのか?」
「何を言う。お前に孫を預けたのは私の責任だ。死ぬまでしっかり面倒を見るさ。」
「孫が死ぬまでか。まだまだ長生きするな、お前は。」
「冗談のうまいやつめ。とにかく今日の夜に迎えにいく、準備しておけ。」
「了解。それともう1つ聞きたいことがある。」
「なんだ?」
「お前の孫に、私のACの倉庫を見せてもかまわないか?」
「どうしてだ?」
烏大老が不思議がる。
「見たがってるんだよ、あの倉庫を。」
「まあ最後だ。状況の説明と一緒に見せてやってくれ。」
「了解。どうなっても、恨むなよ。」
G.ファウストはそう言って通信を切った。
【2010/11/20 12:15 】 | 老兵の回帰
P10-老兵の回帰
G.ファウストは自室に入って通信機を起動する。
「烏大老か?ファウストだ。」
「ファウスト?何の用だ?」
突然の通信に、烏大老は非常に驚いているようだった。
「少し面倒なことになった、話を聞いてくれ。」
「どうした?」
「この村の近くに武装勢力の拠点があるらしい。」
「ああ、そうだな。バーテックスにもその情報は入っている。」
「アライアンスがその拠点の制圧・接収を近日中に計画しているらしい。」
「それは初耳だ。」
「場所が場所だけにこの村にも飛び火しかねない。」
「そうかもしれん。バーテックスがアライアンスの部隊を押さえるか?」
「バーテックスは関係ないだろう?アライアンスが動き出したら、俺がACを出す。」
「お前がACを!?」
烏大老が声を荒げる。
「それしかないのだ。」
「アライアンスの部隊に手を出す気か?」
「そうなるな。」
「馬鹿が!アライアンスに手を出せば、お前は奴らの標的になるだけだ!!」
「だがお前の孫を守るにはこれしかない!」
【2010/11/20 12:15 】 | 老兵の回帰
P9-老兵の回帰
「おじちゃん、何するの?」
昼食とその片づけが終わったあと、義孫がG.ファウストに聞いてくる。
「そうだな、お前は何がしたい?」
義孫と過ごす最後の1日かもしれないと考えると、G.ファウストには何をするか決められなかった。
「お勉強は嫌!」
「じゃあお勉強以外で考えよう。何かやってみたいことはあるか?」
「うーん、あの倉庫に入ってみたい!」
「あの倉庫に入りたいのか?」
G.ファウストは思わず顔が引きつる。
「うん。だってこの辺りで行ったことないの、あの倉庫だけなんだもん!」
義孫は満面の笑みだ。
なにがあるかわからないからこそ、あの倉庫の中に入れるのが楽しみなのだろう。
「少し待ってくれ、あの倉庫はおじいちゃんのなんだ。入っていいかおじいちゃんに聞いてくる。」
「うん、わかった!」
楽しげな義孫の笑顔を見ていて心が痛む。
【2010/11/20 12:14 】 | 老兵の回帰
P8-老兵の回帰
玄関に近づくと、ちょうど義孫が散歩から帰ってきたところだった。
「おじちゃん、汚ーい!」
それが義孫がG.ファウストを見ての第一声だった。
今着てる普段着は埃まみれの倉庫内に置いておいたのだ、確かに埃まみれで汚い。
「ああ、ちょっと掃除をしてたんだ。着替えないとな。」
G.ファウストはそう言いながら、義孫と一緒に玄関に入る。
「俺はこの汚い服を着替えてくる。悪いがお前は先に昼食の支度をしててくれないか?」
「うん、わかった!」
義孫は走って台所へ向かう。元気なやつだ。
G.ファウストも別の服に着替えたあと、台所へ向かい、義孫と一緒に昼食の支度をした。
【2010/11/20 12:14 】 | 老兵の回帰
P7-老兵の回帰
「さて始めるか・・・」
義孫の姿が見えなくなるまで待ったあと、G.ファウストは家の裏の倉庫へ向かった。
義孫には立ち入りだけでなく近寄ることすら禁じている倉庫。
倉庫の中にはG.ファウストの愛機のAC"パンツァーメサイア"と、その予備パーツや弾薬など一通りが雑多に置かれている。
「まさか再びこいつを動かすことになるとはな・・・」
複雑な気持ちのまま埃まみれのパイロットスーツに着替え、パンツァーメサイアに乗り込む。
昔の勘を頼りに計器類を操作し、ACを通常モードで起動する。
パーツの状態を確認すると全て良好だったが、武器までは確認できない。
もうかなりの年月放置してあったものだ、弾があっても火薬が湿気で使い物にならない可能性が十分にある。
だがここで実際に銃器を撃って確認するわけにはいかない。
比較的音のしないブレードのみを稼動テストしてみると、ちゃんとレーザー刃が形成される。
「ブレードがあれば十分だ。」
最低限の戦闘力があるのを確認して安堵したあと、テストモードで操作の感覚を思い出す。
最初は戸惑ったが、繰り返すうちに昔と変わらない操作を行うことができた。
「これならどうにかなるか。」
ACの通常モードを終了させ、降りて普段着に着替えて倉庫の戸締りをしっかりして家に戻る。
【2010/11/20 12:13 】 | 老兵の回帰
P6-老兵の回帰
「おじちゃん、今日は何するの?」
朝食とその片づけが終わり、することがなくなった義孫がG.ファウストに聞いてくる。
「今日は天気がいい。散歩でもしてきな。」
「うん。おじちゃんは?」
「俺は今日はこのあと少しやることがあってな。散歩の後で一緒に何かしよう。」
「約束だよ?」
「ああ、約束だ。」
「じゃあいってきます!」
義孫は元気にそう言って、玄関を飛び出していった。
「気をつけてな!」
G.ファウストもそれに答えて元気に見送った。
【2010/11/20 12:12 】 | 老兵の回帰
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