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所要時間
6時間ぐらい? 解説とか G.ファウストと烏大老は2人とも老兵である →2人ともバーテックス所属だから接点がある? →接点に子供を用意してこじつけよう! →そしてこのSSを書き始めました。 OWL部隊の台詞が少し聞き覚えあるのはきっと気のせいだよ! 2人とも老人ということで一人称に少し困った。 ファウストが「俺」というのがなんか違和感あるけど、それしかしっくりくるのがなかった。 PR |
「終わりか。」
G.ファウストはそうつぶやき、深呼吸を行った後、通信を入れる。 「G.ファウストだ。烏大老、聞こえるか?」 「ああ、聞こえる。」 「迎えを頼む。」 「了解。すぐに向かわせる。」 今の彼は、ここ何年も感じ得なかった充実感に包まれていた。 (戦場で死ぬのも悪くないな。) (いや、戦場で死んでこそ本望だ。) そんなことを考えながら、バーテックスの迎えを待った。 ~Fin~ |
戦場に静寂が続く。
G.ファウストの耳に聞こえるのは、パンツァーメサイアが大破寸前ということを表すAPアラート音のみ。 自分の息遣いや心臓の鼓動まで耳障りに感じるほどに、G.ファウストは集中していた。 これは恐らくOWLのパイロットも同じだったのだろう。 OWLも停止していたが、痺れを切らしたのかOWLの移動音が突如戦場に静かに響く。 G.ファウストはその僅かな音も、聞き漏らさなかった。 反射的に音のした方角とその移動先に向けてパンツァーメサイアを走らせ、ブレードを振りかざす。 そしてパンツァーメサイアの前にはOWLの残骸が転がっていた。 |
目の前に動く影を捉えた瞬間、G.ファウストは一気に機体を走らせ、ブレードを叩き込んだ。
うまく当たったらしく、ブレードを食らったOWLは上半身と下半身が分離したようだ。 暗闇の中から上半身を見つけ、腕部を切り落とす。 G.ファウストは再び暗闇に目を凝らし、耳を澄ます。 ロケットとライフルが飛んでくる方角、その弾速、発射音・発射光の位置を落ち着いて整理し、OWLの位置を割り出す。 そしてOWLがいるであろう位置にパンツァーメサイアを走らせ、ブレードを叩き込む。 再びブレードは直撃し、OWLの上半身と両腕部を同時に切り落としていた。 間髪空けずにもう1機のOWLがいるであろう位置にパンツァーメサイアを走らせ、さらにブレードを叩き込む。 しかしライフルを持つ右腕を切り落としただけだった。 それを確認したG.ファウストは再び石のように動かなくなる。 残されたOWLも、これがこのACの戦術なのだと理解したのか攻撃の手を緩め、やがて全く攻撃しなくなる。 |
武装勢力の拠点は既に壊滅状態、OWL部隊の作戦目標はとっくに達成できたのであろう。
通信終了と共に、OWL部隊全機がパンツァーメサイアのほうへ進路を変える。 G.ファウストはライフルとロケットで迎撃を試みるが、どちらも撃てない。 やはり湿気で火薬がやられているようだ。 ブレード以外の武装をパージし、OWL部隊を迎え撃つ準備を整える。 チャンスは一瞬。 G.ファウストは集中力を高め、目を凝らし、耳を澄ます。 ロケットとライフルが次々被弾するが、パンツァーメサイアは動かない。 G.ファウストはこの攻撃を避けれないのではない、避けないのだ。 視界が限られレーダーも使えない以上、頼れるのは自分自身の体だけなのだ。 だから弾にわざと当たり、敵の位置を読むのだ。 |
そして深夜、烏大老の言ったとおりにアライアンスの部隊が姿を現した。
旧ミラージュ製のハイエンドMT"OWL"3機で構成された強襲部隊だ。 武装は左腕部のロケットに右腕部のライフル。 ECMを展開して高機動を生かして距離を詰めながら加速加算されたロケットを拠点へ撃ち込んでいく。 襲撃に気がついた武装集団も応戦するが、展開されているECMのせいで迎撃もままならず、次々撃破されていく。 OWL部隊は村の建物を盾にしながら侵攻していく。 双方の流れ弾が次々とG.ファウストの住む村に被弾し、やがて村は火の海に包まれる。 「アライアンス、所詮は企業の集まりだな。目的のためには民間人などどうでもいいのか?」 G.ファウストの口から思わず独り言が漏れる。 「企業の犬が、失せろ!!」 G.ファウストはパンツァーメサイアを戦闘モードで起動し、OWL部隊へ向け通信を入れる。 暗視スコープがないので視界は真っ暗だ。 「何だ貴様は?」 「乱入してくるとはとんでもない命知らずだ。」 「これは警告だ。我々の邪魔をするのであれば、抵抗勢力とみなし、排除する。」 OWL部隊の通信を無視し、OWL部隊のほうへパンツァーメサイアを向かわせる。 「警告は無駄だったか。抵抗勢力と認定、排除を開始する。」 「了解。」「了解。」 |
その日の夜、烏大老が車で孫を迎えに来た。
「おじいちゃん!」 烏大老が車から出てくるなり、孫は烏大老に飛びついた。 「おー、大きくなったなぁ。」 烏大老は孫の頭を優しくなでながら、G.ファウストに話を振る。 「ファウスト、準備はできているか?」 「ああ、荷物はここにあるので全部だ。」 「そうか。じゃあ積み込もう。お前は先に車の中で待ってな。」 烏大老はそう言いながら、孫を担いで車のシートに乗せる。 孫は言われたとおりに車の中でおとなしくしていた。 「ファウスト。」 荷物が積み終わったあと、烏大老はG.ファウストに話しかけた。 「何だ?」 「あれからアライアンスの動向を探っていたが、武装集団の拠点制圧作戦は今夜行われるそうだ。」 「今夜か・・・」 「機体の状態はいいのか?」 「問題ない。昼間チェックした限りでは良好だった。」 「そうか。戦闘が落ち着いたら私に通信を入れろ。すぐに迎えを向かわせる。」 「了解。恩に着る。」 「礼には及ばんさ。孫のことは私に任せろ。」 烏大老はそう言って、車の運転席へ向かう。 「死ぬなよ。」 烏大老がそう言うと同時にドアが閉まり、車が走り出す。 |
「お前にはまだ難しいか。今は深く考えなくていい。」
G.ファウストはしゃがみこんで、義孫と視線の高さを合わせて続ける。 「だがすぐに戦争で物事を解決しようとするような大人にはなるな。約束してくれ。」 「・・・うん。」 「おじいちゃんもおじちゃんも、今日から世界から戦争がなくなるように戦うんだ。」 「おじいちゃんもおじちゃんも?」 義孫は不思議そうに聞いてくる。 「ああ。だが、おじちゃんまで戦いに行くとお前が1人になってしまう。」 「・・・」 「だから今日、おじいちゃんが新しいお家にお前を連れて行ってくれる。」 「・・・」 義孫は何も言わない。 「新しいお家にはお前と同じぐらいの子がいっぱいいるはずだ。仲良くしてくれよ。」 「おじちゃんは?」 「ん?」 「おじちゃんは来ないの?」 「ごめんな。おじちゃんは一緒には行けないんだ。」 「・・・」 「だが時間を見つけて会いに行ってやる。約束だ。」 「本当?」 「本当だ!」 「約束だよ?」 「ああ、約束だ。だからもう、出かける準備しないとな。家に戻ろう。」 「うん。」 |
「汚ーい!!」
それが倉庫の中に入ってすぐの義孫の感想だった。 「あまり使わない倉庫だからな。何があるかわかるか?」 「大きくてかっこいい。何なの?」 「これはな、アーマード・コアって言うんだ。」 「アーマード・コア?」 「ああ、すごく昔は作業用の汎用重機みたいなもんだったが・・・」 G.ファウストは続きを言うか迷ったが、続けた。 「今は武器を積んで殺し合いに使われてる、戦争の道具だ。」 「戦争?」 この子は戦争というものを知らない。 物心つく前に戦争で両親を失い、G.ファウストに預けられたのだ。 「ああ。戦争ってのはね、たくさんの人が死んじゃうんだ。」 「どうして?」 「どうしてだかね・・・。理由はいろいろあるから、俺には何とも言えん。」 「例えば?」 「大事なものを守るために戦う場合もあれば、憎い相手を倒すために戦う場合もある。」 「それはいけないこと?」 「理由だけなら、いけないことだとは言い切れんな。」 G.ファウストは間を空けて続ける。 「だがその結果、関係ない人まで死んでしまう。これはいけないことだ。」 「じゃあ戦争はいけないこと?」 「ああ。戦争は本来、ないほうがいいんだ。」 「じゃあどうして戦争するの?」 「全員が同じ気持ちというわけじゃないからな。考え方の違いとかで争った結果起こるのが戦争だ。」 |
「どうだったの?」
リビングに戻ると、期待に満ちた笑顔で義孫が聞いてくる。 「ああ、見てもいいらしい。」 「本当!?」 「本当だとも。それと少し話したいことがある。」 「何?」 「話は倉庫でだ。行くぞ!」 「うん!」 |