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『敵部隊の全滅を確認。なかなかいい動きだ、そうでなくてはな。』
『力は見せてもらった。おめでとう、新たなレイヴン。君を歓迎しよう。』 相方は撃破されたが、あたしは受かった。それでいい。 「あの・・・爆撃機は?」 『たった今、撃墜された。』 上空を見上げると、火の玉となった爆撃機が緩やかに降下していた。 『作戦は成功です。お疲れ様。』 通信先から爆撃機を撃墜したレイヴンのオペレーターの声が漏れてくる。 『こちらの試験も、無事終了した。ご苦労だった。』 また通信の背後から声が聞こえる。 「サンキュー!!レイヴン、助かったわ。」 もしかしたら爆撃機を撃墜したレイヴンに聞こえるかもしれない・・・ そんな思いをこめて、あたしは大声でそう礼を言った。 PR |
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『・・・爆撃機到着まで、残り20秒です。』
開きっぱなしの試験官との通信の背後から小さく、そう聞こえた。 気のせいかと思ったが、通信から小さく「爆撃機」と「試験」の単語が頻繁に聞こえてくる。 聞き間違いではない。 「爆撃機だって!?そんなこと聞いてない!!」 何が起こっているのかを悟ったあたしは大声を上げた。 最近、コーテックスへの妨害工作をしている集団がいるという噂をよく耳にしていた。 恐らくその集団の仕業なのだろう。 『試験の中止は認められない。爆撃機の始末を頼む。』 『爆撃機は何の問題もない。君たちは試験に集中するんだ、いいな? 』 集中しろと言われてもできるわけがないが、このまま死ぬわけにはいかない。 爆撃機のことは聞かなかったことにして、MTの撃破に戻る。 「うわっ!!」 相方機の悲鳴が聞こえた。 AP表示を見ると0000。 結局、何もしないで撃破されたのか・・・ 『AC1大破!AC2、君だけで残りの敵を殲滅しろ。』 言われなくてもわかっている。 最初からそのつもりだった。 残るは盾を装備した増援の重装MT3機。 相手の特徴から、正面から攻めるのは危険だとわかりきっている。 だから距離を詰めつつ背後に回り、背後からブレードで切り捨てていく。 もう慣れたものだった。 残る2機も同じように撃破する。 [モクヒョウ タッセイ] ACの戦闘モードが解除され、行動に制約のかかった通常モードに移行する。 |
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『レーダーに表示されている赤いラインが、作戦領域を示している。』
『一歩でも外に出た時点で作戦放棄とみなす。気をつけろよ。』 これが試験官からの最後のアドバイスだ。 あとはあたし自身と相方次第。 あたしは事前に読んでいたマニュアル通りにACの操縦を行う。 ぎこちないが、何とか動ける。どうにかなるだろう。 相方のほうを見てみると、不規則に少し動いては止まっての繰り返し。 「あんた、マニュアル読んでないの?」 思わず声をかける。 「う、うん・・・」 やっぱり読んでないようだ。 「はぁ・・・」 (あれじゃ頼りにならないね・・・) あたしは相方のことは無視して1人で試験を進めることにした。 あんなのに足を引っ張られてあたしまで死ぬのはごめんだ。 ぎこちない操作ながらも、あたしはライフルとミサイルを駆使して配備された逆脚MTを撃破していく。 流れ弾が後ろで試行錯誤している相方のAPがどんどん削れていくが、あたしには関係ない。 そしてあと2,3機といったところまで撃破したとき、試験官から通信が入った。 『輸送機の飛来を確認。どうやら敵の増援のようだ。』 輸送機からMTが投下され、まだ試行錯誤している相方機の近くに降下。 見たところ、バズーカとシールドを構えた重装MTが3機だ。 降下完了と共にバズーカが相方機に向く。 『予定外だが敵は敵だ。全て撃破しろ。』 予定外とは言うが、これも演出だろう。 成績優良者への追加試験として、こういったことをするという噂を聞いたことがある。 相方機を見ると、バズーカの集中砲火に手も足も出ない様子。 (あたしが助けに行っても助からないだろうな。) だからあたしは無視して初期配置のMTの排除を優先した。 |
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コーテックス所属輸送機の中、2機のACが運ばれている。
そのうちの1機に今あたし、レジーナは乗っている。 『まもなく作戦領域に到着する。もう一度、君たちに課せられた作戦内容を説明する。』 乗り慣れないACの中、試験官の通信が響く。 『目標は、市街地を占拠している敵部隊の撃破。』 『敵勢力は、戦闘メカだ。』 『このチャンスに二度目はない。必ず成功させることだ。』 作戦といっても、所詮は試験なのだ。 敵部隊といってもあらかじめ用意された戦力だ。 落ち着いて撃破していけばいい。 あたしは自分にそう言い聞かせ、気持ちを落ち着かせる。 ようやくここまできたのだ、失敗するわけにはいかない。 「がんばりましょう。」 同時に試験を受けるレイヴン候補生から通信が入った。 声からするに若い男、あたしと同じぐらいか? まあどうでもいい。今は自分のことが最優先だ。 「そうね。お互い生き残れればいいわね。」 そんな感じの返事を、あたしはした。 「え?あ、うん。」 相方の返事は戸惑っているようだったが、気にしない。 『作戦領域到達。AC投下、ミッション開始だ。』 試験官がそう言うなり輸送機のハッチが開き、床のコンベアで機体が押し出される。 [システム キドウ] 着地と同時にノイズ交じりの耳障りなCPU音声がコックピットに響く。 戦闘モード起動、戦闘開始だ。 |
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所要時間
6時間ぐらい? 解説とか G.ファウストと烏大老は2人とも老兵である →2人ともバーテックス所属だから接点がある? →接点に子供を用意してこじつけよう! →そしてこのSSを書き始めました。 OWL部隊の台詞が少し聞き覚えあるのはきっと気のせいだよ! 2人とも老人ということで一人称に少し困った。 ファウストが「俺」というのがなんか違和感あるけど、それしかしっくりくるのがなかった。 |
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「終わりか。」
G.ファウストはそうつぶやき、深呼吸を行った後、通信を入れる。 「G.ファウストだ。烏大老、聞こえるか?」 「ああ、聞こえる。」 「迎えを頼む。」 「了解。すぐに向かわせる。」 今の彼は、ここ何年も感じ得なかった充実感に包まれていた。 (戦場で死ぬのも悪くないな。) (いや、戦場で死んでこそ本望だ。) そんなことを考えながら、バーテックスの迎えを待った。 ~Fin~ |
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戦場に静寂が続く。
G.ファウストの耳に聞こえるのは、パンツァーメサイアが大破寸前ということを表すAPアラート音のみ。 自分の息遣いや心臓の鼓動まで耳障りに感じるほどに、G.ファウストは集中していた。 これは恐らくOWLのパイロットも同じだったのだろう。 OWLも停止していたが、痺れを切らしたのかOWLの移動音が突如戦場に静かに響く。 G.ファウストはその僅かな音も、聞き漏らさなかった。 反射的に音のした方角とその移動先に向けてパンツァーメサイアを走らせ、ブレードを振りかざす。 そしてパンツァーメサイアの前にはOWLの残骸が転がっていた。 |
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目の前に動く影を捉えた瞬間、G.ファウストは一気に機体を走らせ、ブレードを叩き込んだ。
うまく当たったらしく、ブレードを食らったOWLは上半身と下半身が分離したようだ。 暗闇の中から上半身を見つけ、腕部を切り落とす。 G.ファウストは再び暗闇に目を凝らし、耳を澄ます。 ロケットとライフルが飛んでくる方角、その弾速、発射音・発射光の位置を落ち着いて整理し、OWLの位置を割り出す。 そしてOWLがいるであろう位置にパンツァーメサイアを走らせ、ブレードを叩き込む。 再びブレードは直撃し、OWLの上半身と両腕部を同時に切り落としていた。 間髪空けずにもう1機のOWLがいるであろう位置にパンツァーメサイアを走らせ、さらにブレードを叩き込む。 しかしライフルを持つ右腕を切り落としただけだった。 それを確認したG.ファウストは再び石のように動かなくなる。 残されたOWLも、これがこのACの戦術なのだと理解したのか攻撃の手を緩め、やがて全く攻撃しなくなる。 |
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武装勢力の拠点は既に壊滅状態、OWL部隊の作戦目標はとっくに達成できたのであろう。
通信終了と共に、OWL部隊全機がパンツァーメサイアのほうへ進路を変える。 G.ファウストはライフルとロケットで迎撃を試みるが、どちらも撃てない。 やはり湿気で火薬がやられているようだ。 ブレード以外の武装をパージし、OWL部隊を迎え撃つ準備を整える。 チャンスは一瞬。 G.ファウストは集中力を高め、目を凝らし、耳を澄ます。 ロケットとライフルが次々被弾するが、パンツァーメサイアは動かない。 G.ファウストはこの攻撃を避けれないのではない、避けないのだ。 視界が限られレーダーも使えない以上、頼れるのは自分自身の体だけなのだ。 だから弾にわざと当たり、敵の位置を読むのだ。 |
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そして深夜、烏大老の言ったとおりにアライアンスの部隊が姿を現した。
旧ミラージュ製のハイエンドMT"OWL"3機で構成された強襲部隊だ。 武装は左腕部のロケットに右腕部のライフル。 ECMを展開して高機動を生かして距離を詰めながら加速加算されたロケットを拠点へ撃ち込んでいく。 襲撃に気がついた武装集団も応戦するが、展開されているECMのせいで迎撃もままならず、次々撃破されていく。 OWL部隊は村の建物を盾にしながら侵攻していく。 双方の流れ弾が次々とG.ファウストの住む村に被弾し、やがて村は火の海に包まれる。 「アライアンス、所詮は企業の集まりだな。目的のためには民間人などどうでもいいのか?」 G.ファウストの口から思わず独り言が漏れる。 「企業の犬が、失せろ!!」 G.ファウストはパンツァーメサイアを戦闘モードで起動し、OWL部隊へ向け通信を入れる。 暗視スコープがないので視界は真っ暗だ。 「何だ貴様は?」 「乱入してくるとはとんでもない命知らずだ。」 「これは警告だ。我々の邪魔をするのであれば、抵抗勢力とみなし、排除する。」 OWL部隊の通信を無視し、OWL部隊のほうへパンツァーメサイアを向かわせる。 「警告は無駄だったか。抵抗勢力と認定、排除を開始する。」 「了解。」「了解。」 |
